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SimestがAI投資に2億ユーロ、イタリアのDX推進へ

ミラノ工科大学のデータで2025年のイタリアAI市場は18億ユーロ規模に拡大。SimestがPMI向けに2億ユーロの融資枠を設定し、9月21日から申請受付を開始した。

読了時間:3分 編集方針

ヨーロッパ、そしてイタリアは、デジタルトランスフォーメーションにおける構造的な課題を抱えている。人工知能(AI)への投資において、日本や米国、中国と比較して大きく遅れをとっているのが現状だ。この状況を打破するべく、カッサ・デポジティ・エ・プレスティティ(CDP)グループ傘下の国際化支援機関Simestが、重要な資金調達枠の設置を決定した。

AIに2億ユーロを投じる資金枠の概要

Simestはイタリアの中小企業(PMI)によるAI投資を加速させるため、約2億ユーロの資金枠を準備した。申請受け付けは9月21日から開始されており、国内製造業の国際競争力強化とデジタル移行の後押しを目的としている。欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン委員長も、9月中旬の欧州議会の一般教書演説において、AI分野への投資の重要性を強調している。Simestのこの取り組みは、西側諸国全体で加速しているAI投資の潮流と一致したものだ。

融資条件と申請手続き

Simestが企業向けに用意した融資総額は2億ユーロで、そのうち10%は返済不要の補助金(グラント)として提供される。融資期間は8年、金利は特に優遇された条件が適用される。申請が承認された企業は、融資承認額の最大50%を早期に前払いとして受け取ることができる。米国や中国の大手テック企業が動かす規模とは比較にならないものの、イタリアの中小企業にとっては大きな後押しとなる。

この措置は、Simestが外務・国際協力省との協定のもとで管理する「394/81回転基金(Fondo rotativo 394/81)」の財源を活用している。申請にはsimest.itのポータルからログインし、新設された「AI投資(Investimenti IA)」セクションにアクセスする必要がある。同セクションは「デジタル・環境移行(Transizione digitale ed ecologica)」の枠組みの中に設置される。

イタリアのAI市場の現状と課題

ミラノ工科大学のAI観測所(Osservatorio Artificial Intelligence del Politecnico di Milano)のデータによると、イタリアのAI市場は急速な拡大を見せており、2025年の市場規模は18億ユーロに達し、2024年比で50%増を記録した。同観測所によれば、2024年末時点でAIソリューションやサービスを提供するイタリア企業は1,010社に上る。その多くはスタートアップ段階にあり、主にヘルスケアやフィンテック分野向けの垂直型ソリューション、あるいは企業・オフィス向けのサポートツールを展開している。

同データによれば、大企業のうちAIプロジェクトを少なくとも1件以上開始した割合は71%に達する一方、中小企業では8%にとどまる。この格差こそが、Simestが中小企業支援に踏み切った直接の根拠となっている。さらに、イタリア国内に拠点を置く大企業の84%が欧州域外製の生成AI(Generative AI)ライセンスを購入しており、前年比31%増という数字が、欧州産AIの不在という構造的弱点を浮き彫りにしている。

Simestの融資制度が機能すれば、中小企業のAI導入率は大幅に上昇すると期待される。欧州、あるいはイタリア独自のAIイノベーションが生まれる土壌を育てることも、長期的な目標となるだろう。ギャップは大きい。だが、この融資が最初の一歩を踏み出す契機になりうる。金融庁(FSA)が暗号資産規制と並行してデジタル産業政策を注視する日本の投資家にとっても、欧州中小企業のAI投資動向は、グローバルな競争地図を読む上で無視できない指標となっている。

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