ゴールドマン・サックス ビットコイン・プレミアム・インカムETF SEC申請 月次分配
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ゴールドマン・サックスが月次分配型ビットコインETFをSECに申請

ゴールドマン・サックスが月次分配型ビットコインETFをSECに申請。ブラックロック・モルガン・スタンレーに続き、ウォール街の機関化が加速している。

2025年4月15日水曜日、ブルームバーグのETFアナリストとして最も知られるエリック・バルチュナス氏がX(旧Twitter)に一言投稿した。"SHOCK." ゴールドマン・サックスがGoldman Sachs Bitcoin Premium Income ETFのSEC申請書を提出した直後のことだ。2018年に「需要不足」を理由に暗号資産デスクを停止した銀行が、今度は月次分配型のビットコイン商品を投資家に提供しようとしている。

カバードコールで月次分配を実現する仕組み

このファンドはビットコインを直接保有しない。ブラックロックIBITやフィデリティFBTCなど既存の現物ETFの持ち分を購入し、その保有分にコールオプションを売却してプレミアムを獲得する。得られた収益は毎月投資家に分配される。その代わり、ビットコイン価格が急騰した局面では上昇幅が一部制限される。

このカバードコール戦略自体は新しくない。JPモルガンはS&P 500に同戦略を適用したJEPIを運用しており、残高は350億ドルを超える。ビットコインに機関規模で適用するのは今回が初めてだ。極めて高い変動性を持つ資産を債券に近い定期収益商品に変換することで、投資委員会への説明責任を負う機関投資家の心理的ハードルを下げることが主眼だ。

バルチュナス氏はこの商品を"boomer candy"と表現した。ビットコインを保有したいが、毎朝価格を確認したくない投資家向けの商品という意味であり、この表現は業界内で急速に広まった。

モルガン・スタンレーからゴールドマンまで7日間の展開

2026年4月8日、モルガン・スタンレーがNYSE Arcaに米国大手銀行初のビットコイン現物ETFを上場し、最初の1週間で1億ドル超を集めた。その7日後の4月14日、ゴールドマン・サックスが独自ETFをSECに申請した。先行者を追うというより、デジタル資産の定期収益という新しい市場セグメントを切り開く動きだ。

ブラックロックも同方向に動いている。ティッカーBITAでの上場が見込まれるiShares Bitcoin Premium Income ETFが近く登場する見通しだ。ウォール街の競争軸は移動した。「誰が先に現物ETFを出すか」ではなく、「最終投資家に変動性を説明せずにビットコインをポートフォリオに組み込めるベストな商品を誰が作るか」という競争だ。

申請翌日のETF資金流入と市場への影響

ゴールドマン申請の翌日、米国ビットコイン現物ETF全体で4億1,150万ドルの純流入が記録された。ブラックロックIBIT単体で2億1,400万ドルを吸収し、ビットコイン価格は7万5,000ドルに迫った後に反落した。米国ビットコインETFの総運用資産は965億ドルに達した。

日本の規制環境と比較すると示唆に富む。金融庁(FSA)は国内暗号資産交換業者に対して厳格な規制を課しており、bitFlyer・Coincheck・SBI VCトレードなどJVCEA加盟業者は個別の商品組成に多くの制約を受ける。カバードコール型ビットコインETFは現時点で国内では存在しないが、ウォール街の動向は日本の金融機関にとっても無視できないベンチマークだ。

ファンド運用体制とSEC審査スケジュール

ポートフォリオはゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのラジ・ガリギパティ(Raj Garigipati)氏とオリバー・バン(Oliver Bunn)氏が担当する。申請書によれば、純資産の最低80%をビットコインに配分し、市場状況に応じて40〜100%の範囲でコールオプションによるヘッジを行う。ファンドは1940年投資会社法のもとで登録され、ケイマン諸島の法人を補助的な構造として活用する点は、ブラックロックが類似商品で選択した規制経路と若干異なる。

SECの標準審査期間は75日間だ。順調に進めば2026年6月末から7月初旬の運用開始が見込まれる。ゴールドマンはすでに2024年末時点でビットコイン現物ETFに15億7,000万ドル超のポジションを保有しており、IBIT単体で前四半期比121%増だった。今回は初めてその露出を顧客向けに収益化する試みだ。

日本の投資家にとっての意味

ブラックロック、モルガン・スタンレー、そしてゴールドマン・サックスがビットコインETF市場に揃い踏みした。機関化の流れは後戻りできない段階に入った。

日本市場の観点では、次の点が注目される。

  • 国内の暗号資産は雑所得として最大55%の税率が適用されるが、ETFの税務区分(申告分離課税20%)との差は依然大きく、制度整備の議論を加速させる可能性がある。
  • 月次分配型商品は、国内の確定拠出年金(iDeCo・DC)への暗号資産組み入れ議論に新たな視点を加える。
  • FSAおよびJVCEAが欧米の動向をどう国内ルールに反映するか、注視が必要だ。

月次分配型ビットコインETFは暗号資産ネイティブのための商品ではない。株式変動性を嫌い、低金利に不満を持つ機関投資家や資産運用委員会向けに設計された商品だ。複雑な資産をシンプルな収益商品に変換するウォール街の得意技がビットコインに適用された。金融庁とJVCEAの次の一手を注視する局面だ。

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