コンテンツにスキップ

Krakenがトークン化株を香港・ロンドン・ソウルへ拡大、米国外の時代へ

Krakenの親会社Paywardが香港・英国・欧州・韓国の株式をオンチェーン化。GTNとの提携でトークン化株式が米国を超える時代へ。

4 min read 編集方針

これまで「トークン化株式」とはほぼ「米国株のトークン化」を意味していた。Tesla、Nvidia、Apple をブロックチェーンに乗せる、それだけだった。だが状況が変わった。Krakenの親会社Paywardが、香港上場株式をオンチェーン化し、続いて英国株、欧州株、韓国株へと展開すると発表したのだ。

発表文に込められた野心の核心はシンプルだ。「まだトークン化されていない最大のアセットクラスは、米国以外の世界全体だ」。この言葉が何を変えるのか、そして約束が現実とどこでぶつかるのかを整理する。

発表内容:GTNとの提携でグローバル市場へ

Krakenを傘下に持ち、xStocksプラットフォームを開発するPaywardは、ドバイを拠点とし90以上のグローバル市場にアクセスするフィンテック企業GTNと提携を締結した。GTNが取引執行・カストディ・証券登録を担うことで、トークンの裏付けとなる実物株式の管理が米国外にも広がる仕組みだ。

まず香港上場株からスタートし、英国株、その他の欧州株、韓国株と順次拡大する。いずれも必要な規制当局の承認を前提とする。この提携は株式だけでなく、債券やETFといった他のアセットクラス、さらにGTNの機関投資家顧客向けサービスへの道も開く。

60銘柄から500銘柄超へ、約1年で

プラットフォーム上のトークン化株式銘柄数。出所:Payward、2026年

600300060100500+2025年6月2026年3月2026年7月

累計取引高は350億ドル超、保有者数は約20万人。出所:Payward、2026年

地理的障壁をなぜ崩せるのか

この動きの意味は。ブラジル、ナイジェリア、インドネシアの個人投資家が香港上場株を買おうとする場面を想像すれば明確になる。現状では、現地の証券仲介業者を経由して口座を開設し、外国為替取引を処理し、売買時間や規制の壁を乗り越えなければならない。現実には、そのほとんどの人にとって、その銘柄は「存在しないも同然」だ。

それに対し、株式を裏付けとするトークンはアプリから数秒で売買でき、タイムゾーンを気にしない。米国市場をグローバルにアクセス可能にしたのと同じ原理を、今度は世界中の他の市場に適用するわけだ。トークン化はここで単なる流行語ではなく、小さな外国株の断片を経済的に成立させる唯一のインフラとして機能する。

金融庁(FSA)が2023年に整備した暗号資産・電子決済手段に関する規制改正を踏まえると、日本の投資家にとってトークン化証券がどの規制カテゴリに位置づけられるかは、依然として慎重に確認すべき論点だ。JVCEAが整備を進めるルールフレームワークとの整合も注目される。

競合ひしめく市場:二つのモデルの攻防

これはKrakenだけの動きではない。Robinhoodはすでに欧州を超えてトークン化株式の提供を拡大し、Coinbaseも独自の株式トークンを計画している。DTCCはトークン化証券のインフラテストを開始しており、Nasdaqとニューヨークストックエクスチェンジもそれぞれの取り組みを進めている。

この競争で見落とせない点がある。市場に存在するモデルが一つではないという事実だ。どのモデルが普及するかによって、購入者が実際に「何を所有するのか」が根本的に変わってくる。

競い合う二つのアプローチ

株式をオンチェーン化する、対照的な二つのモデル

  • 第三者発行モデル:外部の発行体がカストディ中の株式と1対1で裏付けられたトークンを発行する。立ち上げが速く、どこからでもアクセスしやすい。
  • 発行体自身によるモデル:上場企業自身がトークン化バージョンを発行し、完全な株主権を維持する。立ち上げは遅いが、法的根拠はより強固だ。

今後数年の勝負は、どちらのモデルが主流となるかにかかっている。

この違いは投資家が最も注意すべき点であり、実際に何を所有しているかを決定的に左右する。

地理的制約はなくなっていない

言い換えると、スローガンは現実よりも鮮明に聞こえる。正直に言えば、これらのトークンはいかなる現地の金融市場規制当局にも登録されておらず、ジャージー島に拠点を置く企業が発行している。これらは株式ではなく、実際の株式を裏付けとして価値を複製する金融商品であり、発行体の資産から分別管理されたカストディアンが実物を保管する。

象徴的な矛盾がある。この商品は米国居住者には提供されていない。英国、カナダ、オーストラリアの居住者も対象外だ。つまり、英国株がトークン化される一方で、英国人はそれを買えない。市場へのアクセスにおいて地理的障壁は消えるが、商品へのアクセスでは地理が依然として決定的な役割を果たす。これらの商品を検討する投資家は、何を買うのか、誰が発行するのか、問題が生じた場合にどのような保護があるのかを、ホワイトペーパーを読むときと同じ慎重さで確認すべきだ。

より大きな文脈で読む

2026年は複数の方向から一貫したメッセージを届けている。米国決済システムの中枢がトークン化証券をテストし、単一のブロックチェーンがトークン化株式の出来高のほぼ全体を集め、そして今、発行体が米国の枠を超えてアジアと欧州の市場へと進出している。

技術が機能することの証明は終わった。今始まる議論は規制の問題だ。具体的には、株式のデジタル版を誰が発行する権利を持つのか、そして購入者にどのような保護が与えられるのか、という問いだ。価格上昇ほど魅力的なテーマではないが、トークン化金融が真剣なインフラとなるか、保護の薄い並行市場にとどまるかを決めるのはまさにこの問いだ。詳細はxStocksの公式ドキュメントとRWA.xyzのデータで確認できる。

Consent Preferences