2026年6月9日、イタリア株式指数のFTSE Mibは50,263ポイントで取引を終え、史上最高値を更新した。CoinDeskの市場データによると、同日午後5時25分(現地時間)、ビットコインは61,500ドル(約960万円)を割り込み、4カ月ぶりの安値に沈んだ。一見すると別々の市場の動きに見えるが、実際には同じ一つの現象を示している。資本がどちら側につくかを選択した。少なくとも現時点では、暗号資産の側ではない。
FTSE Mibラリーを支えた唯一の原動力
ミラノ市場の上昇は技術革新ではなく、銀行セクターの再編から生まれた。モンテ・デイ・パスキ(Monte dei Paschi)が上昇基調を維持し、BPERとユニポル(Unipol)が続いた。金融株全体が数週間にわたりBorsa Italianaの注目を集めた。取引代金は1日で63億4,000万ユーロから52億5,000万ユーロへと減少した。出来高は細いが、確信は強い。市場が買ったのは統合、支店網の拡大、そして配当だ。かつて「古い商売」と言われたものが、今は「稼げるもの」として評価されている。
ビットコインの6月下落: 何が起きたか
言い換えると、ビットコインは30日間で約24%下落し、年初来では3分の1近い価値を失った。CoinDeskのデータが示す軌跡は明確だ。5月28日の73,000ドルから6月4日に64,300ドル、6月5日に62,045ドル、そして6月9日には61,500ドルを割り込んだ。背景には米国スポット型ビットコインETFからの記録的な資金流出、米国の粘り強いインフレ、そして中東情勢の緊張がある。最も象徴的な出来事はStrategyによるビットコイン売却だ。2022年以来初めて、同社は32BTC(約250万ドル相当)を売却した。金額は小さいが、市場へのメッセージは大きかった。
ビットコイン6月下落の推移 (USD)
出典: CoinDeskおよびBorsa Italiana市場データ、2026年5月28日〜6月9日
誰も語らない資産ローテーション
ここに逆説がある。FTSE Mibを押し上げているイタリアの銀行群が、同時に暗号資産市場へ静かに参入しているという事実だ。インテサ・サンパオロ(Intesa Sanpaolo)はビットコインETFへのエクスポージャーを持ち、BPERは欧州ステーブルコインコンソシアムに加わった。価格が下落する局面でインフラを積み上げている。日本市場でも類似した構図が見え始めている。金融庁(FSA)は機関投資家による暗号資産保有に関する規制整備を進めており、SBI VCトレードやbitFlyerなど国内大手もカストディや法人向けサービスを拡充している。安値で売る個人投資家は、誰に売っているかを一度考える価値がある。

次の分岐点はすでにカレンダーに記されている。米国労働統計局(BLS)が発表するCPIデータだ。インフレが予想を上回れば、ETFからの資金流出が再燃し、ビットコインは60,000ドルの節目を試す展開になりうる。

逆にCPIが想定を下回れば、下値のめどが近いという認識が広がる可能性がある。日本の投資家にとって本質的な問いはこうだ。イタリアの銀行が静かにビットコインのインフラを積み上げる一方、国内の機関投資家はどこに立ち位置を置いているのか。金融庁による暗号資産の機関投資ガイドライン整備の行方が、この乖離を埋めるタイミングを左右する。JVCEA(日本暗号資産取引業協会)の動向とあわせて注視したい。
