「Mark it up」。5月1日午後4時26分(米東部時間)、Brian ArmstrongがX上に投稿したたった3語だ。4か月前に状況を一変させた同じArmstrongが、今度は前進を促している。1月14日、投票の数時間前にCoinbaseがClarity Actへの支持を撤回し、上院議員Tim ScottはMarkupを無期延期していた。今回のタイミングは、偶然ではない。
Digital Asset Market Clarity Actは2025年7月に成立し、下院は同月25日に294対134の賛成多数で可決した。分極化した議会において、これは注目に値する票差だ。上院では1点だけで行き詰まった。ステーブルコインへの利回りをめぐる問題だ。USDCを保有するだけで収益を得られるか。銀行側は「ノー」と主張し、暗号資産企業側は「イエス」と主張した。ホワイトハウスは数か月にわたって仲介を続けた。
3月が最も困難な局面だった。草案は否決され、CoinbaseとStripeはある版のテキストを拒否した。Circleの株価はその1取引日で20%下落したとBloombergが報じた。公式声明はなく、市場が結果を示した。
利回り禁止、リワード許可:妥協の構造
実は、5月1日、上院議員TillisとAlsobrooksがSection 404のテキストを公開した。規則は一つだ。いかなる暗号資産事業者も、銀行の利付預金と「経済的または機能的に同等」な形でステーブルコイン残高に利息を支払うことは認められない。USDCを保有するだけでは、受動的な収益を生まなくなる。「バイ・アンド・ホールド」型の収益モデルは終わりを迎える。銀行側は3月以降求めていたものを手に入れた。Jamie DimonはCoinDeskの報道によれば委員会の場で、あの利回りは「利息であり、それだけだ」と明言していた。
では、何が残るのか。実際の利用に連動したリワード、つまり取引件数、取引量、プラットフォーム上の具体的な活動だ。テキストではこれらを「bona fide activities(真正の活動)」と定義し、大統領署名から1年以内に財務省とCFTCが境界を定義する権限を委ねている。CoinbaseはCoinDeskの報道によれば2025年のステーブルコイン収益が13億5,000万ドルに達したと発表している。その収益構造は消えるのではなく、変容する。同社の最高法務責任者Paul Grewalは、テキストが「実際の参加に連動したリワードを保護している」とX上で述べた。
政策担当のFaryar Shirzadは最も率直な総括を加えた。「銀行はリワードへのより多くの制限を獲得した。しかし私たちは重要なものを守った。」CircleのDante Disparteはこう締めくくった。「米国はリードするか、リードされるかを選ばなければならない。」
Mark it up https://t.co/KZbJ7PHoVR
,Brian Armstrong (@brian_armstrong) May 1, 2026
日本の暗号資産投資家への影響
影響の大きさは、ステーブルコインの保有方法によって異なる。Coinbase上でUSDCの受動的利回りを受け取っていたユーザーは、プロダクト構造の再編を想定すべきだ。「保有して稼ぐ」モデルから「使って稼ぐ」モデルへの転換が起きる。一方、米国に未登録のDeFiプロトコルを経由した純粋なオンチェーン運用は、現時点では同法の適用範囲外となる。
規制対象と非規制対象の境界がより明確になり、流動性は準拠プラットフォームへとシフトする傾向が強まるとみられる。日本では金融庁(FSA)が2023年に改正資金決済法でステーブルコインの発行・流通規制を導入済みだ。Clarity Actが成立すれば。米国と日本の二重規制環境において、グローバルに展開する取引所は今から対応を求められる。JVCEA(日本暗号資産取引業協会)加盟の国内取引所にとっても、米国基準が新たな実務上の参照点となる可能性がある。
5月14日以降のタイムライン
5月14日午前10時30分(米東部時間)、上院銀行委員会の委員会投票が行われる。ただし、これはあくまで最初の関門だ。その後、上院本会議での60票確保、1月に上院農業委員会が可決したテキストとの調整、さらに2025年7月の下院版との整合が必要になる。ホワイトハウスは米国建国250周年にあたる7月4日までの署名を目標に掲げている。JPMorganはすでにこの進展を「デジタル市場にとっての主要なポジティブ触媒」と評価していると報じられている。
上院議員John Kennedyはまだ承認を表明していない。彼の支持なしでは、Tim Scottは採決に必要な数を確保できない。LummisとMorenoは別の日にそれぞれ同じことを語った。5月21日のメモリアルデー休会を超えれば、次の立法の窓は2030年になるという見通しだ。スケジュールは極めてタイトで、議会内の動向から目が離せない。日本の投資家にとっても。Clarity Actの成否は米国発のステーブルコイン規制の国際基準を決定づける分岐点になる。5月14日の委員会採決とその後のKennedy上院議員の動向が。当面の最重要モニタリングポイントだ。
