黄金のビットコインシンボルから月次配当コインが流れ出し上昇を制限する構造を示したコラージュ画像
著者 Francesco Campisi プロフィール画像 Francesco Campisi
3 min read

ブラックロックBITA上場: ビットコイン利回りETF年15~25%狙い

ブラックロックが2026年6月16日、ナスダックにBITAを上場した。年率15~25%を目標とする世界初のビットコイン・インカムETFだ。

2026年6月16日、ブラックロック(BlackRock)はナスダックでBITA(iShares Bitcoin Premium Income ETF)の取引を開始した。年率15~25%の利回りを目標とする、世界初のビットコイン・インカムETFだ。世界最大の資産運用会社によるこの商品は、ビットコインを値上がり益だけを狙う資産から、毎月配当を受け取れる収益資産へと再定義しようとする試みである。タイミングも興味深い。米国のビットコイン現物ETF市場が過去最悪の月を経験している最中の上場となった。

運用の仕組みはカバード・コール(covered call)戦略だ。BITAはブラックロックの現物ETFであるIBITと、コインベース(Coinbase)に直接保管されたBTCのエクスポージャーを担保にコール・オプションを売却し、受け取ったプレミアムを毎月投資家に分配する。ビットコインの上昇分の少なくとも70%を捕捉することを目指す。運用手数料は0.65%で、競合のカバード・コール商品(0.95~0.99%)を下回る。米国証券取引委員会(SEC)は2026年6月15日夜、Form 8-A提出後に承認を完了した。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)が7月に類似商品の投入を予告するなか、ブラックロックが先手を打った形だ。

仕組みの核心: 今日の収入のために将来を売る

カバード・コール戦略の原理は古くから知られている。資産を保有しながら、第三者に特定の価格(ストライク)でその資産を買う権利を売却し、その対価としてプレミアムをすぐに受け取る。BITAはこの原理をビットコインのエクスポージャーに適用する。問題はその代償だ。ビットコインがストライク価格を大幅に上回って急騰した場合、BITA保有者の利益はその水準で頭打ちになる。一方、純粋にIBITを保有する投資家は上昇分をそのまま享受する。下落局面でも、受け取ったプレミアムは薄い緩衝材にすぎず、損失の防護壁にはならない。利回りも固定ではない。ビットコインのボラティリティが高い局面ではプレミアムが膨らみ、市場が静かになれば縮小する。

年間運用手数料の比較

出所: ブラックロック目論見書およびSECデータ、2026年6月

0.25%
0.65%
0.99%
IBIT (現物)BITA (インカム)競合カバード・コール

誰のための商品か、そして誰には向かないか

ブラックロックはターゲットを明確にしている。BITAは毎月の現金収入を必要とする投資家向けに設計された商品だ。退職者、インカム・ポートフォリオを運用するアドバイザー、配当収益の条件を持つ機関投資家が主な対象となる。ビットコインの完全な上昇益を求めるなら、IBITや現物BTCを直接保有すべきだ。BITAの競争優位は二つある。手数料(0.65%)が競合を下回ること、そしてIBITとの連携で深い流動性が確保されていることだ。ただし本質的には、予測不可能な資産に「予測可能性」という感覚を売る構造である。日本の金融庁(FSA)や日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の規制枠組みのもと、国内投資家がこうした米国上場インカムETFに直接アクセスできるかどうかは、引き続き確認が必要だ。

タイミングの逆説: 最悪の市場環境での誕生

BITAが上場した背景は複雑だ。SoSoValue ETFダッシュボードによると、米国ビットコイン現物ETFの総運用資産はわずか数週間で1,040億ドルから940億ドルへと縮小した。ビットコインは米・イラン合意を受けて6万5,500ドル超へと反発したが、6月16~17日に予定される米連邦準備制度(Fed)の会合を前に、市場全体の空気は慎重だ。日本の投資家にとっても、国内の暗号資産課税(雑所得扱い)の観点から、価格が停滞する局面でインカムを得られる仕組みへの関心が高まる可能性がある。

ブラックロックの戦略的な読みは明快だ。価格が上がらない局面でも機関投資家がビットコインを保有し続ける理由、すなわちインカムを提供することで資金流出を抑える。伝統市場とリスク資産の間の乖離が広がるいま、その論理には一定の説得力がある。

何が実際に変わるのか

実は、BITAが大規模な資金を集めれば、ビットコインは年金ポートフォリオやインカム戦略ファンドの正式な組み入れ資産として認知されるようになる。変動性を理由にビットコインを敬遠してきた機関に扉を開く構造だ。ゴールドマン・サックスが7月に類似商品の投入を準備しており、ビットコイン・インカムETF競争はここから本格化する。リスクは利回りの裏側にある。ビットコインが急騰すれば、BITA保有者はIBITが先行するのを見守るだけだ。急落局面では、毎月の配当は損失を吸収するには薄すぎる。市場が自ら問いに答えを出さなければならない。投資家はボラティリティを月次配当に変換するために、上昇益のどれだけを手放す覚悟があるのか。

著者 Francesco Campisi プロフィール画像 Francesco Campisi
更新日:
ビットコイン トレーディング
Consent Preferences