2026年4月11日、Binanceは正式に発表した。同社の非カストディアル型Web3ウォレット内で、初の5銘柄となるトークン化プレIPO資産の提供を開始したと。これまでSpaceXやOpenAIへの投資は、数百万ドル規模のチェックを切れるベンチャーキャピタルやリミテッドパートナー、シリコンバレーに人脈を持つ一握りの投資家だけに許されていた特権だった。
Binance Web3 Walletのプレーチェーン:仕組みと対象資産
今回開始されたプレIPO資産は、Binanceアプリの「ウォレット」ビュー内「マーケット」セクションから直接アクセス可能だ。対象企業には、時価評価額1兆7,500億ドルでIPOを目指すSpaceXと、2026年2月時点で評価額8,520億ドル・年間収益ランレートが250億ドルを超えたOpenAIが含まれている。いずれも未上場企業であり、一般投資家には事実上手の届かない存在だったが、今後はオンチェーンで経済的エクスポージャーを持てるようになる。
トークンはFSRA(アブダビ金融サービス規制局)規制下の商品として設計されており、直接的な株主権は付与されない。あくまで原資産企業の経済的価値に連動するRWA(リアルワールドアセット)だ。ウォレットはBinance独自のMPC(マルチパーティ計算)技術を採用しており、シードフレーズ不要でWeb3ウォレット特有の流動性を享受できる。
なお、米国居住者は対象外となっており、これはBinanceが2026年2月にOndo証券との連携で展開したトークン化株式(AAPL・NVDAなど)と同じ規制上の枠組みに沿った対応だ。
日本市場と金融庁規制の文脈:RWAへの注目
日本では金融庁(FSA)がデジタル証券やセキュリティトークンの規制整備を進めており、2023年の金融商品取引法改正以降、STO(セキュリティトークンオファリング)市場が拡大している。bitFlyer・Coincheck・SBI VCトレードなど国内主要取引所もRWA分野への関心を高めているが、未上場株へのオンチェーンアクセスという点では、今回のBinanceの取り組みは世界的に見ても先進的な事例となる。
日本の暗号資産税制では、こうした資産から得られる利益は雑所得として最高55%の課税対象となる可能性がある。投資判断の前に税務上の取り扱いを確認することが不可欠だ。JVCEA(日本暗号資産取引業協会)もRWAの自主規制ガイドライン策定に向けた動きを見せており、国内での類似サービス解禁に向けた議論が今後加速する可能性がある。
ブロックチェーンが民間市場のインフラになる日
今回の動きは単なる新機能の追加ではない。Binanceが描く戦略的ビジョンの具体化だ。同社は2026年2月にBinance Alpha上でOndo経由のトークン化株式を展開し、小売投資家が証券口座なしでウォール街にアクセスできる道を開いた。プレIPO資産はその延長線上にある次のステップを意味する。
この流れはBinanceだけではない。欧州ではRobinhoodがトークン化株式を展開し、伝統的な金融機関も追随している。ブロックチェーンはDeFiの実験場から、グローバルな金融インフラへと変貌しつつある。
- SpaceX:評価額1兆7,500億ドル、史上最大規模のIPOを目指す
- OpenAI:評価額8,520億ドル、2026年2月時点で年間収益ランレート250億超
- 対象5銘柄:Binanceアプリのマーケットセクションから即時アクセス可能
- MPC技術:シードフレーズ不要の非カストディアル型ウォレット
- 米国居住者は対象外
今後注目すべきは、FSAがこうしたオンチェーン未上場株商品をどう分類・規制するかだ。国内投資家にとっては、Binanceの動向を追いながら、国内取引所がいつ同様のサービスを提供できるかを見極めるタイミングに来ている。
Pre-IPO assets are now easier to discover in #BinanceWallet.
— Binance Wallet (@BinanceWallet) April 10, 2026
The first batch of 5 assets is now available under [Markets] in the [Wallet] view on the Binance App, making it easier to explore related on-chain Pre-IPO assets.
👉 Explore now: https://t.co/ajDvELjYP8 pic.twitter.com/Xo8CX2rfoU
