CZとStar Xuが10億ドルをかけて対立するBinanceとOKXの創業者論争
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CZ対Star Xu:10億ドルの賭けが業界を揺るがす

暗号資産業界のトップ2取引所の創業者が激突——CZが著書『Freedom of Money』でOKXのStar Xuを名指し批判し、Xuは反論、CZは10億ドルの賭けを提案した。日本の投資家も注目すべき業界ガバナンスの問題だ。

2026年4月8日から10日にかけて、Xプラットフォーム上で繰り広げられた出来事は、暗号資産が金融を超えてドラマになった瞬間だった。業界トップ2の取引所創業者が、公の場で真っ向から激突した。

『Freedom of Money』——CZの著書が論争を呼んだ経緯

4月8日、Binance創業者のChangpeng Zhao(CZ)は457ページの著書『Freedom of Money』を出版した。世界最大の取引所の誕生、FTXの崩壊、Terraの惨事、DOJおよびSECとの法廷闘争を綴り、すべての収益を慈善団体に寄付すると発表した。だが業界を震撼させたのは、その内容だった。CZは2014〜2015年にOKX(旧OKCoin)でCTOとして働いた当時の経験を書き記し、契約書の改ざんや——最大の「爆弾」として——Huobiの創業者李林(Li Lin)から2025年に打ち明けられたという話を暴露した。それは、OKXのCEOであるStar Xuが中国当局にCZを密告していたという主張だ。

日本でもbitFlyerやCoincheckを通じてBinanceやOKXの動向を注視している投資家は多い。業界最大手2社の創業者の対立は、単なる個人的な確執を超えた、業界ガバナンス全体に関わる問題だ。

Star Xuの反撃と10億ドルの賭け

Star Xuは即座に反論した。Xアカウント@star_okxへの一連の投稿でCZを「常習的な嘘つき」と断じ、契約書の偽造を証明するとする公証済みの動画を投稿。「真実は12年前からインターネット上に公開されていた」と主張した。

数時間後、CZが放った言葉は今サイクルで最も語り継がれるものになった。Star XuはCZが法的書類で婚姻状況について虚偽を述べたと主張した。CZはこれに対し「正式に離婚済みだ。元妻のプライバシーを尊重するため書類は公開しないが、離婚が事実であることに10億ドル——あるいはXuが望む金額なら何でも——賭ける用意がある」と応じた。

XuはこのオファーをEMした。規制を受けた取引所のUBO(最終受益所有者)として公に10億ドルの賭けを提案するのは「非専門的な行為」という理由だ。CZは即座に切り返した。「Xuが期限内に沈黙を保ったこと自体が、すでに答えだ」と。

なぜこの対立は日本の投資家にも関係するのか

一見するとCrypto-Twitterの内輪もめに見えるこの騒動は、実際にははるかに重大な意味を持つ。BinanceとOKXは世界最大級の取引量を誇る2つの取引所だ。その創業者たちが契約書の偽造、当局への密告、組織的な虚偽を互いに非難し合うとき、それは単なる個人的なスキャンダルではない。

金融庁(FSA)が国内取引所に厳格な登録制度と内部管理体制を課している日本では、この種の経営者間の透明性の欠如が規制上どう評価されるかは注目に値する。JVCEA(日本暗号資産取引業協会)は加盟取引所に対し高い倫理基準を求めており、海外の主要取引所の創業者が公の場でこのような応酬を繰り広げることは、業界全体への信頼に影響しうる。

著書の中でCZは、CoinbaseのBrian ArmstrongやKrakenのJesse Powellを含む非公開メッセージグループの存在も明かした。この市場を作り上げた内輪の人間関係がいかに小さかったか、そしてそれがどう変容したかは、どんな価格変動よりも興味深い物語だ。

BinanceのCo-CEOでCZの長年のパートナーであるYi Heも自身のアカウントを通じて「この問題は自分には関係なく、前に進む」とのメッセージを発した。あえて公言する必要のないコメントが示すのは、この騒動が内部でもいかに燃えているかだ。

2026年の暗号資産市場が問いかけること

2026年の暗号資産市場は、ETFの制度化、取引所の規制対応、銀行の参入と大きく変わった。日本でも雑所得として最大55%の税率が適用される中、机上の金融商品としての暗号資産は確実に成熟しつつある。

しかし創業者は創業者のままだ。長年棚上げにされてきた個人的な恨みは、どれほど業界が制度化されても消えない。今後注目すべきは3点だ。

  • 『Freedom of Money』の内容に対するOKXの正式な法的対応の有無
  • BinanceとOKXの規制当局(FSA含む)への影響
  • Li Linによる「密告」発言の真偽確認

CZの著書は単なる回顧録ではない。業界の権力構造と人間関係の暗部を照らすドキュメントだ。日本の投資家にとっても、自分が利用する取引所の背景にある歴史を知ることは、決して無駄ではない。

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